"心の羅針盤"を信じて素直に従う

"心の羅針盤"を信じて素直に従う

私たちの心は、その時々でさまざまなシグナルを送ってきます。疲れた時、やる気に満ち溢れている時、休息が必要な時——。でも多くの場合、私たちはそんな心の声を「今は忙しいから」「やらなきゃいけないことがあるから」と押し殺してしまいがちです。

しかし私は、この心の声こそが私たちの最も大切にしなくてはならない羅針盤なのかもしれないと考えています。完璧を求めすぎず、時には自分の気持ちに正直になることで、かえって長期的なパフォーマンスが上がることもあるはずです。

心と上手に付き合いながら、自分らしいリズムを見つけていく。そんな柔軟な働き方について、私がこれまでの経験から大切にしている具体的な3つの考え方をお伝えしていきます。

メンタルの波に抗わない「まぁそんな日もあるか」

集中力が続かない、アイデアが浮かばない、モチベーションが上がらない——誰にでも、思うように仕事が進まない日があります。そんな日に自分を責めたり、無理に踏ん張ったりしていませんか?

もちろん私にもそういったメンタルの「波」の動きがあります。むしろ、私は人よりもこの波が大きいと自分で感じています。時には1日中布団から出られず、気づいたら夜になっていたということも。

私たちは機械ではありません。体調や気分、環境の変化に応じて、パフォーマンスが変動するのは当然のことではないでしょうか。

大切なのは、メンタルの波に逆らわず、受け入れること。「今日は調子が悪いな」と認識したら、期待値を少し下げて、できる範囲でコツコツと取り組んでみましょう。

例えば、集中力が続かない日は、細かいタスクを片付けることに専念する。クリエイティブな発想が必要な仕事は、別の日に回す。そうやって、その日の状態に合わせて柔軟に対応することで、かえってストレスなく仕事を進められることも。

「まぁ、そんな日もあるか」という寛容な気持ちで自分に接することは、長期的に見ればメンタルヘルスの維持にもつながります。完璧を求めすぎず、時には波を受け入れる——そんなしなやかな姿勢を大事にしています。

今の気持ちを大切に「寝たい時に寝る、遊びたい時は遊ぶ」

仕事中でも、時として強い眠気に襲われたり、外の天気の良さに誘われたりすることがあります。本来は「今は仕事に集中しなきゃ」と自分を戒めなくてはならないのかもしれませんが、私はこれも心と体からの大切なメッセージが込められているのかもしれないと考え、極力無視しないようにしています。

例えば、突然の強い眠気は、実は心身の疲労のサインかもしれません。「あと1時間がんばろう」と無理を重ねるより、15分の仮眠を取ることで、その後の生産性が大きく向上することも。スケジュールが許すのであれば、その日はもう諦めて寝てしまっても良いかもしれません。

また、「今日は天気が良いから少し早めに切り上げて、散歩でもしよう」という選択が、明日への活力を生み出すことだってあります。たまには、平日の昼間から友人たちとお酒を飲んでも良いでしょう。

もちろん、すべての欲求に従うことは現実的ではありません。締め切りやミーティングなど、守るべき約束事はきちんと守る必要があります。しかし、その範囲内で柔軟に対応できる部分は、自分の気持ちに正直になってみても良いのではないでしょうか。

結果的に、その「休息」や「気分転換」が、より質の高い仕事につながることも少なくありません。自分の心と体のリズムを大切にしながら、メリハリのある働き方を見つけていく。それは、替えの効かない「自分自身」という大事な商売道具を愛することでもあると私は思います。

がんばれる日にはとことんがんばる「今日は絶好調!未来の私のために仕事貯金」

メンタルが落ちてしまう日があれば、反対に「今日は何だかすごく調子がいい!」と感じる日もあるでしょう。頭の回転が早く、アイデアが次々と湧いてきて、難しい仕事もスイスイと進んでいく——そんな絶好調の日は、思い切り仕事に没頭してみるのもいいでしょう。

これは「調子が悪い日はペースダウン」の反対の考え方です。好調な波が来ている時は、その波に乗って前倒しで仕事を進めておく。調子の悪い日が来ても、先回りしてすでに終わらせておいた仕事があれば、その分ゆとりを持って過ごすことができます。

「今日の私がダメなら、明日の私ががんばる。今日の私が元気なら、明日の私のためにがんばる」そんなイメージです。

ただし、ここで気をつけたいのは、「がんばりすぎて燃え尽きてしまう」ことです。どんなに調子が良くても、適度な休憩は必要です。また、明日以降の予定をすべて今日に詰め込んでしまうのも考えもの。あくまでも「余力がある範囲で」の仕事貯金を心がけましょう。

そして、調子が良い日に、未来の予定を立てすぎないようにするのもポイント。そういった日は往々にしていつもよりハイになっているので、少々無茶なスケジュールを立ててしまいがちです。今日の自分が実行できても、明日以降の自分のテンションがどうなのかはわからないですし、万が一メンタルの波が来るかもしれないことを考え、あくまでも現実的な決断を下しましょう。

絶好調の波を上手に活用することで、より柔軟な働き方が可能になります。「今日のやる気と集中力は、未来の自分への投資」と考えれば、仕事に向かう気持ちもより前向きになるはずです。

ちなみに、以前Mojiギルドでライターが納期に遅れないために意識すべきことについて書かせていただいきました。然るべき瞬間に自分の心の声を大事にできるように、ぜひこちらも参考にしてみてください。

自分の心が充電される時間を大切にする

自分の心が充電される時間を大切にする

仕事の充実感も大切ですが、心が本当の意味で満たされるのは、多くの場合「仕事以外の時間」かもしれません。私自身仕事はとても大切にしていますし、仕事をしている時間が大好きですが、時には仕事から離れることも必要だと考えています。

家族や友人との何気ない会話、趣味に夢中になれる瞬間——。そんな時間は、単なる「オフ」の時間ではなく、私たちの心を確かに「充電」してくれる大切な時間ではないでしょうか。

私たち一人ひとりそれぞれに、心が自然とほぐれる、元気をもらえる、そんな特別な時間があるはずです。それは決して「贅沢な時間」ではなく、むしろ充実した仕事生活を支える「必要不可欠な時間」と言えるでしょう。

ここからは、私自身が大切にしている3つの「心の充電時間」についてお話ししていきます。皆さんも、ご自身にとっての特別な時間について、ぜひ考えてみてください。

母とのお出かけの時間

[母との福岡旅行]  お天気にも恵まれ  たくさん散歩をして美味しいグルメに舌鼓を打った

[母との福岡旅行] お天気にも恵まれ たくさん散歩をして美味しいグルメに舌鼓を打った

毎日忙しなく生きていると、同じ屋根の下に住んでいてもゆっくりコミュニケーションが取れないことも珍しくないので、月に1度は必ず母と一緒に食事やショッピングに出かけることにしています。

仕事で疲れていても、母とのお出かけの約束は極力キャンセルしないようにしています。それは、この時間が私にとって、明日への元気を取り戻すための大切な「充電時間」だとわかっているから。

[大学の卒業式] 5年間たくさん支えてくれた父と母が 卒業を祝ってくれた思い出深い日

[大学の卒業式] 5年間たくさん支えてくれた父と母が 卒業を祝ってくれた思い出深い日

父を早くに亡くし、母は私にとってかけがえのない家族。だからこそ、限りある時間を大事に紡いでいきたいと思っています。

最近は母のほうから「桜が咲いたらお花見に行きたい!」「時間ができたらここに行きたい」と誘ってくれることも増えました。実は、私は一家の大黒柱として、母の生活費含め家計を担っています。父が亡くなってから、母は私に遠慮して自己主張をすることが少なくなりました。「娘の人生を邪魔してはいけない」「娘が大切に稼いだお金を無駄にしてはいけない」、きっとそんな想いがあったのでしょう。

今もそう思ってはいるのでしょうが、少しずつ自分のやりたいことなども伝えてくれるようになったのは、私も少しは頼り甲斐のある一人前の大人になれたということなのかもしれません。母の喜ぶ顔が、私の仕事の活力となるので、これからも大切にしていきたい時間です。

友人たちと語り合う時間

[クリスマスパーティー] プレゼント交換をしたり ボードゲームをしたりみんなでワイワイ

[クリスマスパーティー] プレゼント交換をしたり ボードゲームをしたりみんなでワイワイ

同世代の友人たちと会う時間も、かけがえのない充電時間です。仕事の話、恋愛の話、将来の夢、時には深刻な悩みを打ち明けあったり、くだらない冗談で大笑いしたり。そんな何気ない会話の中で、日々のプレッシャーで自分の張り詰めていた気持ちがほぐれていくのを感じます。

特に、学生時代からの親友たちとの時間は格別です。SNSでつながっているだけでは得られない、その場の空気感や表情、声のトーン。直接会って話すことで、言葉以上のものを共有できます。悩みを話して友人たちに共感してもらえると、「これって自分だけじゃないんだ」と勇気づけられることも。

[友人たちとの飲み会] 朝からドライブをして 夜には日本酒を飲みながらちょっと深い話も

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最近は、みんなそれぞれに仕事や家庭があって、なかなか予定が合わないこともあります。でも、久しぶりに会えば、まるで昨日も会っていたかのように自然な会話が弾みます。そして不思議なことに、帰り道には必ず心が軽くなっている。それは、ありのままの自分でいられる友人たちと過ごす時間だからこそでしょう。

「また近いうちに会おうね」——別れ際の約束の言葉には、次に会える日を楽しみに、明日からもお互いがんばろうという気持ちが込められています。友人たちと過ごす時間は、私にとって心の充電であると同時に、自分自身を取り戻せる大切な時間です。

趣味に没頭する時間

[友人と一緒にカラオケボックスでライブ鑑賞] 某アイドルの解散コンサートで大号泣

[友人と一緒にカラオケボックスでライブ鑑賞] 某アイドルの解散コンサートで大号泣

大好きなアーティストのライブに向かったり、謎解きゲームに没頭したり——。そんな時間も私だけの特別な充電時間です。仕事のメールも、未完了のタスクも、すべて一旦脇に置いて、好きなことに集中する。その贅沢な時間は、心に不思議なほどの充実感をもたらしてくれます。

私の趣味は、好きなアイドルやアーティストのライブに行くこと、脱出ゲームやマーダーミステリーを楽しむことなど、挙げればキリがないですが、さまざまなアクティビティを楽しんでいます。ライブ会場で心の底から声を出して応援したり、ゲームの世界で全く違う人物になりきったりしているうちに、いつの間にか日常のストレスが溶けていきます。

[マーダーミステリーの会場] 普段とは違う人格になり 別の人の人生を生きれる瞬間が楽しい

[マーダーミステリーの会場] 普段とは違う人格になり 別の人の人生を生きれる瞬間が楽しい

趣味の素晴らしいところは、日常の「私」から完全に解放してくれることです。ライブでは、同じ想いを持つファン同士で純粋な大好きな推しを応援することに集中する。マーダーミステリーでは、与えられた役になりきって全く違う人生を生きる。そこには仕事の肩書きも、周りの目も関係ありません。その自由さが、私の心を解放してくれるのではないかと思います。

「今週末はライブだ」「今日は脱出ゲームを楽しもう」。そう決めた日は、心なしか普段よりも仕事の進みが早くなる気がします。一見、現実逃避のように思えるかもしれませんが、むしろこれらの体験が日々の仕事に必要なクリエイティビティを養うことにもつながっています。

自分を愛することで自分が生きている世界をもっと愛せる

自分を愛することで自分が生きている世界をもっと愛せる

私たちは時として、自分に厳しくなりすぎてしまいます。「もっとうまくできたはず」「まだまだ努力が足りない」そんな想いを抱えながら、知らず知らずのうちに自分を追い詰めていないでしょうか。

しかし、自分を大切に思う気持ち、自分の心に耳を傾ける姿勢は、実は私たちの人生をより豊かにしてくれるもの。自分の気持ちに正直になり、時には休息を取り、大切な人々と過ごす時間を持つ。そうすることで、不思議なことに、周りの世界がより鮮やかに見えてくることがあります。

母との何気ない会話が愛おしく感じられたり、友人との時間がより温かく感じられたり、趣味の時間がより充実したものに感じられたり——。自分を大切にすることで、他者とより深くつながることができ、日常のささやかな幸せにも気づけるようになるはずです。

完璧を求めすぎず、時には立ち止まることを恐れず、自分のペースを大切にする。そんな優しい気持ちで自分に接することは、結果として、私たちの生きている世界をより愛おしいものにしてくれる

そして、そんな世界でこそ、仕事をがんばり、自分の人生を自分自身で輝かせることができるのではないでしょうか。

私たち一人ひとりが、かけがえのない存在。他者に愛を注ぐ前に、まずは自分自身をたくさん愛してあげてみてください

この記事を書いたライター

執筆者

Haruka Matsunaga

おしゃべりが止まらない5か国語話者ライター。二次元にも三次元にも推しがとにかく多すぎるオタク。素敵なものや自分の好きなものをとにかくたくさんの人に広めたいという気持ちが執筆のモチベーションです。ペンは剣より強し、言葉の力を信じて...

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