専業ライターと兼業ライターの違いとは

専業ライターとは、文字通り「執筆業のみで収入を得ているライター」のことです。
企業の雑誌編集部などで会社の正社員として執筆しているライターも「専業ライター」と言えますが、Mojiギルドの読者にとっては「フリーランスライター」というイメージが強いでしょう。
対して「兼業ライター」とは、他の職種や業種で仕事をしながら執筆をしているライターを指します。
両者の大きな違いは、収入の源が「ライターのみ」なのか「他の収入源がある」のかです。
本記事では「フリーランスの専業ライター」として解説していくので、ライターとしてそのような働き方を目指す方は参考にしてみてください。
専業ライターのメリット

多くの駆け出しライターが憧れる「専業ライター」には大きなメリットがあります。主なメリットは、以下の4つです。
メリット①|好きな場所で執筆ができる
ライター業は、パソコンとオンラインの環境があれば、特定の場所で仕事をする必要がありません。そのため、仕事場を自由に決められます。
自宅に限らず、ファーストフード店やおしゃれなカフェ・ファミレスなど、そのときの天候や気分によって作業場所を選ぶことも可能です。
お気に入りの環境で仕事をすることで、記事の質や内容も納得のいくものになるかもしれませんね。
メリット②|作業時間を自由に決められる
会社勤めのように定時に出勤する必要がないため、作業を始める時間を自由に決められるのも専業ライターのメリットです。
低血圧で朝が弱く、長時間の通勤時間で疲弊している人は決して少なくないでしょう。
その点、在宅での仕事なら「もう少しだけ寝ていたい」「空いた時間で家事をやりたい」などの時間の使い方も可能になります。
メリット③|親の介護や子どもの面倒を見ながらでも執筆できる
前述のように、働く場所や時間を自由に決めることが可能なため、自宅で家族の面倒を見ながら仕事ができるというのも、専業ライターのメリットです。
近年、自宅に高齢の両親がいる方が多くなっており、認知症や身の回りのお世話などで目が離せない・独りにできないという方は増えています。
子どもの急病や怪我などの緊急時でも、在宅なら対応がしやすいので、親としては安心して仕事ができるようになります。
メリット④|職場の人間関係から解放される
「一人で気ままに作業がしたい」「自分のペースで仕事がしたい」などの理由で在宅ライターを目指す人は少なくありません。
そのため、嫌な人に合わせて仕事をする環境から解放されたい、ストレスフリーな仕事の環境がほしいという方にとって在宅ライターという働きかたは、まさに憧れだと言えるでしょう。
専業ライターのデメリット

専業ライターのデメリットは、自由を手にすることができる反面、以下のようなマイナス要素があります。
デメリット①|安定した仕事があるとは限らない
専業ライターの永遠の悩みである「安定した執筆依頼の確保」が難しいことは、大きなデメリットとして多くの人がご存じかと思います。
現在継続している案件も、クライアント側のサービス終了・倒産などで突然「執筆依頼がストップ」してしまう可能性はゼロではありません。
そのため、今「月○○万円の安定した収入」が得られていても、常に新規案件を探すためのアンテナを広げておく必要があります。
デメリット②|運動不足による体の不調が出やすくなる
この記事をご覧になっている方々の多くは、椅子に座って執筆をしているでしょう。
専業ライターになり、家から一歩も外出しない生活になってくると、運動不足による「体の不調」が出やすくなります。
腰痛や肩こりはもちろんのこと、足や体幹の筋力低下は体内年齢や免疫力の低下につながるので、在宅でも可能な運動を取り入れ、体を動かすようにしてください。
デメリット③|年金や健康保険料の支払いが高額になる
会社を退職して専業ライターになると、今まで会社が折半して支払っていた厚生年金や協会けんぽの健康保険などの社会保険料が「国民年金」や「国民健康保険」に切り替わるため、原則「全額自己負担」になります。
特に国民健康保険は、収入によって金額が上がることに加え「扶養の概念」がないため、年収や家族構成によっては保険料が社会保険よりも高額です。
ライターの場合は「文芸美術国民健康保険組合」に加入することで、支払う保険料を一定額に抑えることも可能ですが、副業収入が少ないうちは保険料の負担は大きく感じられるでしょう。
文芸美術国民健康保険組合に加入するには、著作活動に従事している個人事業主であることや、日本国内に住所を有している組合加盟の各団体の会員であることが条件です。
※参考:文芸美術国民健康保険組合
また、国民年金の将来受け取れる年金額は厚生年金に加入している方よりも少なくなります。安心できる老後を過ごしたいなら「稼ぐ」ことも大切ですが、将来に備えた貯蓄や資産形成をしていくのがおすすめです。
デメリット④|確定申告は自分で行う
会社員や一定の条件を満たすパート・アルバイトなら「年末調整」があるため、個々で所得や納税額の計算をする必要はありません。しかし、専業ライターになった場合は自分で「確定申告」を行う必要があります。
1年間で得た収入や出費、按分できる経費の計算など、領収書や請求書からすべて自分で計算するのは大きな負担であり、デメリットとも言えるでしょう。
現在はいろいろな会計ソフトが出回っているので、昔ほど手間や労力はかかりませんが、計算が苦手な人や雑な帳簿管理をしている人にとっては「仕事以上の拷問」と感じられるかもしれません。
両方の利点を併せ持つ「時短勤務での兼業ライター」

専業ライターになりたいけれど、税金・保険料の出費は抑えたいという方には「時短勤務での兼業ライター」がおすすめです。
「週20時間以上の勤務なら社会保険の対象になる」という制度を利用し、社会保険の加入条件を満たしつつ会社での仕事時間を可能な限り減らして、執筆業にリソースを回しましょう。
2024年10月から、新たに週20時間以上の勤務で社会保険に加入できるのは「従業員数が51~100人の企業等」で、対象となる従業員の要件で働くパート・アルバイトが社会保険の対象として拡大されています。
しかし、一部例外もあり、小規模な会社では週20時間以上働いても社会保険に加入できないケースもあるようです。
(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/koujirei/jigyonushi/taisho/
給与額が下がれば社会保険料の負担も減りますが、会社の制度や扶養の可否によって異なるため、事前に確認しましょう。
時短でも会社の社会保険に加入できれば、国民健康保険や国民年金に切り替える必要はありません。
副業ライターから専業ライターになる前に、雇用契約書をよく確認しておきましょう。
実際に「時短勤務の兼業ライター」で感じたこと5選

「時短勤務で会社勤めのストレスを軽減できる」「空いた時間を執筆に回せる」「保険料や年金の節約になる」と、一見良いことずくめのように感じる「時短勤務の兼業ライター」。
私は現在、本業は契約社員、副業はライターの仕事を兼業して働いてとして勤務しています。
副業の仕事が少ないときは会社の仕事の仕事をメインにフルタイム勤務働き、反対に副業が忙しいときは、本業の勤務日数を6割程度に減らしています。
以下に私の実体験で感じたメリットやデメリットを解説していくので、参考にしてみてください。
1.副業の収入が少ない時は、会社の仕事を増やせる
専業ライターは、仕事量がクライアントに左右されることもあるため、場合によっては「仕事がなくなる」可能性もあります。
しかし、時短勤務の兼業ライターなら「副業の仕事がないときは、会社勤務を増やす」という選択肢があるため、完全に「無収入になる」というリスクがありません。
2.気分転換や運動不足の解消になる
これは本業が出社が必要な場合になりますが、自宅に閉じこもってひたすら執筆というよりも、たまに通勤していたほうが気分転換や運動不足の解消にもなるので、健康の維持という観点からも時短勤務の兼業ライターはおすすめです。
私は実際に体を動かすことで気分転換になり、執筆活動では違った視点での見方や面白い表現方法などが浮かび、文章力がレベルアップしたように感じました。
3.ローンの審査などが比較的通りやすい
ローンの審査も、専業ライターより時短勤務の兼業ライターのほうが通りやすくなっています。
専業ライターの場合「最低2〜3期分の確定申告の申告書が必要」などの条件があり、会社という後ろ盾がない分、信用度が低くなる可能性もあります。
将来、住宅ローンやマイカーローンの利用を計画している方は「兼業ライター」を検討してみてください。
4.納期に追われる可能性がある
時短勤務の兼業ライターの場合、会社の仕事と記事の納品日のタイミングによって納期に追われる可能性があります。
そのため、出勤日と執筆に要する時間を考慮し、余裕のある納期設定が必要不可欠です。
万が一、記事の納品が遅れそうなときは、事前にクライアントに連絡する・勤務先の仕事日を調整してもらう、などの対応をおこない、勤務先やクライアントに迷惑をかけないようにしましょう。
勤め先で年末調整をしていても副業の収入が20万円を超える場合は確定申告も必要なので、期限内に確定申告ができるスケジュールを立てることも忘れずに。
5.体を休める時間が少なくなる
会社の仕事と副業の掛け持ちにより、体を休める時間が少なくなるのは時短勤務の兼業ライターの大きなデメリットと言えます。
増収益にこだわるあまり、休む時間が作れず体を壊してしまっては元も子もありません。
自分の健康管理や余裕をもった時間の配分を考慮して、無理のない執筆活動を行ってください。
会社勤めの利点や欠点を考慮した選択で、快適な生活をしよう

「フリーランスの専業ライター」としての働き方は、多くのライターにとって憧れであり目標でもあります。
専業ライターは働き方や働く時間の自由を選択でき、収入の調整も可能なため、扶養の範囲内で稼ぐことも可能です。
しかし、自由な働き方を選択すれば、付随するリスクやデメリットも同時に受け入れることになるため、「専業」を目指すのか「時短勤務の兼業」を選択するのかは慎重に決めましょう。
あなたに合った働き方がきっと見つかるはずです。
この記事を書いたライター

黒田哲也
イラストも描ける副業Webライターの黒田です。本業は介護職員をやっているので、介護系の記事なども得意です。そのほか、得意ジャンルは「PC関連記事」や「PC周辺機器」「イラストの描き方」「節約ノウハウ」「ポイ活」など。本業との兼ね合いも...