テストライティングで見られるポイント

テストライティングで見られるポイント

テストライティングは、単に「文章が書けるかどうか」を見るだけのものではありません。クライアントや編集者は、その人がチームにとって信頼できる存在かどうか、継続的に依頼できるスキルを持っているかを、短い原稿から見極めようとしているのです。

ここでは、テストライティングで特に重視される3つのポイントをご紹介します。これらを意識することで、より通過率を高めることができるはずです!

ライティングスキル

テストライティングにおいて最も基本的かつ重要なのが、ライティングスキルです。ただし、ここでいうスキルとは、単に文章が整っているかというだけでなく、構成力・論理展開・リサーチ力・語彙力など、「総合的な表現力」を指します。

例えばSEO記事の場合、検索意図を汲み取って的確な見出しを設定し、読者にとって読みやすい流れで情報を提供できているかが問われます。また、専門性が求められるテーマであれば、正確な情報に基づいてわかりやすく噛み砕いて説明できる力が必須です(例:労務関連の法制度、美容医療に関する施術解説など)。

私自身がテストライティングを受ける際に意識していたのは、「該当メディアの過去記事を読み込み、書き方のトーンや構成のクセをつかむこと」です。

例えば、美容医療の記事では「薬機法(医薬品医療機器等法)違反にならないよう、断定を避けて“◯◯が期待できます”と表現する傾向がある」「症例画像を見たうえで、よくある不安を丁寧に説明している」など、細かな傾向を意識して文章に反映していました。

労務や法律系の記事では、制度の誤解を避けるために、厚生労働省や法務省の公式情報に加えて、士業の監修が入った信頼性の高いメディアも併用して情報収集を行いました。情報の裏取りをしながら、「初心者にも理解できるような言葉で、かつ正確に」伝える工夫が求められる場面です。

また、「読みやすさ」や「情報の正確性」だけでなく、読者の興味を引きつける工夫や、媒体のトンマナへの対応力なども見られます。そのため、単なる作文の延長ではなく、“編集者の目線”を意識して文章を仕上げることが重要です。

コミュニケーションスキル

ライティング力と同じくらい大切なのが、コミュニケーションスキルです。テストライティングは一見「文章だけで評価される」ように見えますが、実際にはその前後のやり取りも重要な判断材料になります。

例えば、レギュレーションの確認や納期に関するやり取り、質問の仕方や報告の丁寧さなど、編集者とのやり取りを通じて「この人と一緒に仕事がしやすいかどうか」が見られています。

特にリモートでのやり取りが中心となるWebライティングの現場では、「正確に内容を読み取り、簡潔かつ誠実にやり取りができること」が信頼に直結するものです。丁寧でスムーズなコミュニケーションができれば、多少のライティングミスがあっても「伸びしろがある」と判断してもらえることも少なくありません。

私自身、初めてのお取引の際には特に、「確認→実行→報告」の流れをきちんと守るよう心がけています。

例えば、レギュレーションに疑問点があった場合も、ただ「わかりません」と聞くのではなく、「●●の箇所はこう解釈したのですが、この理解でよろしいでしょうか?」と、自分の理解を添えて確認するようにしています。このように伝えれば、相手に安心感を与えられ、信頼関係の構築にもつながるでしょう。

また、修正依頼などに対してすぐに対応できない場合には、「〜時頃に対応させていただきます」「現在出先なので、後ほど確認させていただきます」というように、一次連絡をまめに返すようにしています。

こうした小さな積み重ねが、継続案件やご紹介につながるケースも多いです。

その他メディアごとに求められる専門スキルがあるかどうか

媒体によっては、単なる文章力以上の「専門スキル」や「業界知識」が求められることもあります。

例えば、医療・法律・金融などの分野では、専門用語の正確な理解や関連する法規制への配慮が必要です。また、実際の使用経験や現場での知識が問われることもあるため、未経験では通過が難しい場合もあります。

一方で、育児・ライフスタイル・エンタメ系などの分野では、読者目線に立った「共感力」や「体験談を交えた説得力」が評価されることもあるでしょう。

私自身、過去に英語コーチング会社で働いていた経験を活かして、英語学習系メディアのテストライティングでスムーズに採用されたことがあります。その際は、「CEFR」「カランメソッド」「学習定着率」など、業界特有の用語を具体的かつ読者にわかりやすく噛み砕いて説明できた点が評価されたと感じました。また、学習者の悩みやモチベーションの変化といった“現場のリアル”を交えた構成も、共感を呼ぶ記事として好印象だったようです。

このように、メディアによって重視されるスキルが異なるため、応募前にその媒体の特徴や記事の傾向をリサーチしておくことが重要なのです。

自分が得意とする分野や経験を活かせるメディアを選べば、テストライティングの通過率もグッと高まりますよ。

【成長につながる】良いテストライティングの見極め方

【成長につながる】良いテストライティングの見極め方

テストライティングは、媒体に対して自分の実力を示す場であると同時に、「その媒体と長く付き合えるか」をライター側が見極める機会でもあります。実際に仕事を始めてから「思っていた働き方と違った」「報酬が不透明だった」と後悔しないためにも、テスト段階で信頼できる媒体かどうかを見極める目を養うことが大切です。

ここでは、さまざまな案件にチャレンジしてきた私が思う、成長につながる良いテストライティング案件の特徴を3つご紹介します。

要注意!不当に安すぎるテストライティングには気をつけよう

最近では、「無償」や「報酬100円以下」といった極端に低報酬のテストライティング案件も散見されます。こうした案件の中には、“テスト”という名目で記事を量産させ、本採用はほとんどされないといった、いわゆる「テストライティング詐欺」のようなケースも存在しています。

もちろん、すべての無償案件が悪質というわけではありません。媒体によっては、「トライアルの品質を確認してから適正な報酬で継続したい」という意図で無償テストを設けていることもあります。しかし、その一方で「5,000文字も書かせて選考落ち」「内容は実際にサイト掲載されているのに報酬ゼロ」など、不誠実な運用もあるのが現実です。

私自身も過去に、非常に安価なテストライティング案件に参加したことがありますが、納品後に連絡が途絶える、フィードバックもないといった対応を経験し、時間を無駄にしてしまったと感じたことがあります。

だからこそ、応募時には報酬の有無や金額、選考フローの透明性をしっかり確認することが重要です。「納品された記事は選考に使うだけで公開はしない」と契約書に明記されているなど、誠実な姿勢が読み取れる案件であれば、たとえ報酬が発生しなくても検討の余地はあります。

自分のスキルや時間を大切にするためにも、「あまりに安すぎる」「説明が不十分な」テスト案件には慎重になるべきです。良質なクライアントと出会うためにも、案件内容を見極める目を持っておきましょう。

ディレクターや編集者からフィードバックがもらえる

テストライティング後に具体的なフィードバックをもらえる案件は、非常に貴重です。たとえ不採用だったとしても、自分の記事のどの部分が良くて、逆にどこに改善の余地があるのかを知ることができれば、それだけで大きな学びになります。

駆け出しの頃、とある教育系メディアのテストライティングで「段落の切り方がやや詰まり気味なので、読みやすさを意識してもう少し余白をつくってみましょう」というフィードバックをいただきました。それを意識して他媒体の原稿を書いたところ、「構成がスッキリしていて読みやすい」と褒められた経験があり、確実にスキル向上につながったと感じています。

ちなみに、フィードバックをくれるクライアントを見つけるコツとしては、募集文の中に「丁寧にフィードバックします」「ライターさんと一緒に成長できる関係を目指します」といった記載があるかをチェックするのがおすすめです。

実際、私が良質なやり取りができた案件でも、事前にそのような一文が提示されていました。また、テストライティングの案内時に「FBあり・なし」が明記されていることもあるので、応募前の条件のすり合わせを怠らないことも大切です。

納品後の対応が丁寧で、編集者がライターの成長をサポートする姿勢を持っている媒体は、安心して長く関係を築けるパートナーになり得ます。

逆に、何の連絡もないまま音信不通になるようなケースでは、たとえ合格していたとしても今後のやり取りに不安が残るので、契約する際には十分に注意した方が良いでしょう。

フィードバックは単なる評価ではなく、「次に活かすためのヒント」でもあります。自分の成長に前向きなクライアントと出会うことで、ライターとしての視野もぐっと広がっていくでしょう。

採用後の契約条件について事前に提示されている

テストライティングに応募する段階で、採用後の報酬や納期、業務量などの条件がきちんと提示されているかどうかも、重要なチェックポイントです。条件の提示が曖昧なまま進行してしまうと、「思っていたよりも報酬が低かった」「毎週大量の執筆が必要だった」といったトラブルにつながることがあります。

しっかりした媒体ほど、最初の段階から業務内容や契約条件を明示し、ライター側が納得した上で、テストライティングに進めるよう徹底されています。

信頼できる媒体かどうかを判断するためにも、「条件が明示されているかどうか」は、テストを受ける前の段階で必ず確認しておきたいポイントです。

必勝!テストライティングに受かるコツ

必勝!テストライティングに受かるコツ

テストライティングに合格するためには、「文章が書ける」だけでは不十分です。ライターとしての基本的な姿勢や、媒体ごとのルールに対する理解、そして自分のスキルに合った選択ができているかどうかが、合否を分けるポイントになります。

ここでは、実際に私自身も実践してきた「テストライティングに受かるためのコツ」を3つご紹介します。どれも地味に見えるかもしれませんが、確実に合格率を高めてくれる基本の要素です。

逆に言うと、テストライティングに合格するためには、特別なスキルはほとんど必要ありません。「基本」を制するものが勝つ戦いです。まずは徹底して基本を叩き込みましょう。

レギュレーションを読み込む

どんなに文章力が高くても、レギュレーション(執筆ルール)に沿っていない原稿は、テストライティングでは評価されません。見出し構成や文字数、トーン&マナー、NGワードの指定など、細かなルールがある場合は特に注意が必要です。

ライターを始めたばかりの頃に、ある案件で「トーンはやややわらかめ/体言止めは不可/H2ごとに見出し下の導入文を必ず書く」などの細かな指定がありました。ところが、それに気づかず体言止めを使ってしまい、修正依頼を受けて初めてそのルールの存在を認識した、という経験があります。

レギュレーションを丁寧に読み、書き始める前に内容を整理しておくことで、ミスや修正依頼のリスクを大幅に減らすことができます。「ルールをちゃんと把握しているかどうか」は編集者が最も初めにチェックするポイントでもあるため、基本中の基本として徹底しておきたい部分です。

初心者歓迎案件であれば、レギュレーションに沿って論理的な文章が書ければ、テストに落ちることはほとんどありません。オリジナリティを意識したり気をてらったりするよりも、まずは「ルールに沿って文章を書く」ことを確実にできる状態を目指しましょう。

当たり前を当たり前に行う

テストライティングにおいて意外と差がつくのが、この「当たり前を当たり前に行う」という姿勢です。

例えば、納期を守る・誤字脱字をなくす・提出形式を守る・敬語で丁寧にやり取りをする――これらは一見ごく基本的なことですが、実はここでつまずく応募者も少なくありません

編集者は、長く付き合える「信頼できるライター」を探しています。特別なテクニックを披露するよりも、ミスのない安定した原稿を提出し、スムーズなコミュニケーションを心がける方が、はるかに高く評価されます。

自分のレベルに合った案件からチャレンジする

自分のスキルや経験に合った案件を選ぶことも、テストライティングに合格するための大切なポイントです。まだライター経験が浅い段階で、医療や金融などの専門性が求められる媒体に挑戦してしまうと、ハードルが高すぎて不合格が続いてしまうことも…。

まずは、自分が得意なジャンルや、身近なテーマの案件から始めてみるのがおすすめです。書きやすいテーマであれば自信を持って執筆に取り組めますし、難易度もそこまで高くありません。実績が増えてから、徐々に難易度の高い案件へステップアップしていくのが、無理なく継続するコツです。

私が最初に取り組んだのは、英語学習に関する初級者向けの記事でした。英語コーチング会社での勤務経験があったため、学習の悩みや教材の選び方といったテーマにスムーズに取り組むことができ、テストライティングも無事通過しました。逆に、初期の頃に手を出して失敗したのがIT関連の案件で、専門用語や法制度の理解に苦戦し、時間をたくさんかけたにも関わらず、あまりうまく書けず不採用に終わったことがあります。

初心者のうちは、「難しそう」と感じるテーマには無理に手を出さず、自分が自然に説明できる・人よりちょっと詳しいと思える分野からスタートするのがおすすめです。

まとめ

まとめ

本記事では、テストライティングで見られるポイントや、良質な案件を見極めるためのポイント、そして合格率を高めるための具体的なコツについて解説してきました。

テストライティングは、ライターが避けては通れない「最初の関門」です。不安や緊張を感じる場面もあるかと思いますが、しっかりと準備をして臨めば、必ず実力は伝わります。

そして、合格・不合格に一喜一憂しすぎず、一つひとつの経験が自分の成長につながっていくと信じて取り組むことが、長く書き続けていくうえでの原動力になるはずです。

これからテストライティングに挑戦する方の第一歩を、心から応援しています!

この記事を書いたライター

執筆者

Haruka Matsunaga

おしゃべりが止まらない5か国語話者ライター。二次元にも三次元にも推しがとにかく多すぎるオタク。素敵なものや自分の好きなものをとにかくたくさんの人に広めたいという気持ちが執筆のモチベーションです。ペンは剣より強し、言葉の力を信じて...

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