事前準備編

事前準備編

長時間の取材では、事前準備が特に大切です。

取材の目的や伝えたいテーマを明確にしておくことで、限られた時間の中でもブレずに本質的なやりとりができます。また、事前に相手のプロフィールやこれまでの活動内容を調べておけば、より深い質問が可能になり、相手との信頼関係も築きやすくなるでしょう。

質問項目を事前に整理しておくことで、当日の流れもスムーズになり、必要な情報を漏れなく引き出せる確率が高まります。

それでは詳しくみていきましょう。

工夫その1:情報は自分の言葉で整理しておく

インタビューだけでなく、セミナーやイベントの取材でも、登壇者やテーマに関する情報をあらかじめ調べておくのは基本です。

私は、公式HPやSNSなどを調べたうえで、自分なりに「この人はどういう人物で、このセミナーで何を伝えたいのか」を自分の言葉で簡単にまとめています。

登壇者が多いと情報がごちゃごちゃになり、記事を書くタイミングで「何の話だっけ?」と混乱してしまうこともありました。しかし事前情報がしっかりあると記憶に残りやすいので、情報整理にエネルギーを消費することなく、全力で執筆できます。

工夫その2:タイムスケジュールと会場での動きも把握する

イベント取材では、会場の広さや進行の流れを事前にチェックしておくことが重要です。慌てて場所を移動したり、登壇者の入れ替わりに追いつけなかったりすると、それだけで疲れの原因に。

特に大規模な会場では、イベントがいくつか同時に開催されていることもあります。私は東京ビッグサイトで、取材する予定とは別のイベント会場に行ってしまったことがありました。広い会場を往復する羽目になり、移動だけで疲れてしまいました。

公式サイトやプレスリリースを参考に、タイムラインを自分なりにメモしておくと、現場での動きがスムーズになり、取材に集中できるでしょう。

本番編

本番編

それでは、取材本番の工夫についてご紹介。

インタビューは事前に用意した質問に沿いながら、相手の発言から自然に生まれる流れを大切にします。一問一答形式ではなく、会話のキャッチボールを意識することで、相手の本音や思わぬエピソードを引き出せることがあるためです。

また、セミナー・イベント取材は録音やメモに気を取られすぎず、相手の表情や声のトーンにも意識を向けることで、より立体的な情報を得ることができるでしょう。

次に、取材本番の工夫についてさらに詳しく掘り下げていきます。

工夫その3:インタビューでは聞くことに集中し、記録は最低限に

個人へのインタビューは数時間もかからないことがほとんどですが、複数人を個別に取材する場合は時間がかかってしまうこともあります。そのような時は、録音機器を用意したうえで、相手の表情や話の流れを追うことに集中します。

全てをしっかりメモしようとするのは大変ですし、記事を書くタイミングで見返しても、量が多いと「どこを確認すればいいかわからない」となりがちです。

それを回避するために、私はキーワードだけ手元にメモを取り、細かい部分は後で聞き返すようにしています。話に集中することで、自然な会話の流れをつかみやすくなりますよ。

工夫その4:セミナー・イベントはリアルタイムでざっくり記録

セミナーや講演はテンポが早く、すべてを完璧に記録しようとするのは正直不可能です。私は「何が語られたか」よりも、「なぜこの内容について語られていたのか」という理由と、「どこが印象的だったか」を意識してメモを取るようにしています。

会話の内容は、録音できる環境であればいくらでも聞き返せます。まずは要点をざっくり押さえることで、情報の取捨選択がうまくなり、結果的に集中力の消耗も抑えられるでしょう。

工夫その5:長時間イベントでは、あえて気持ちを緩める時間も必要

展示会やセミナーのような長丁場では、最初から全力でメモを取っていると後半で集中が切れがちです。

私は、あらかじめ「ここは重点的に見る」「ここは記録だけでOK」と優先度を決めておき、途中で意識的に気持ちを緩める時間をつくっています

優先順位が判断しにくい、経験が浅いジャンルの取材の場合は、後から見返す資料として動画を撮っておくことも。プレゼンの場合は、ホワイトボードやスクリーンの写真は必ず撮影しておきます。

全体を通して集中し続けるより、緩急をつけたほうが結果的に大事なところで頭が働くのでおすすめです。

工夫その6:「完璧主義」よりも「拾えるところだけ拾う」スタンスで

どんなに準備していても、すべてを完璧に記録することは難しいです。特にイベント取材では、マイクの音が聞こえにくかったり、スクリーンの資料が読みにくかったりすることも多々あります。

そのような時は、「わからなかった部分は後で補えばいい」「主旨が伝わる内容が拾えていればOK」と気持ちを切り替えるようにしています。過度に落ち込まずに前向きに考えたほうが、集中力も保てますよ。

取材後の整理時間が、執筆の集中力を保つ

取材後の整理時間が、執筆の集中力を保つ

取材が終わった後は、できるだけその日のうちにメモを清書したり、録音の要所を聞き返したりしておきます。長時間の取材記事は文字数も多くなり、執筆に時間がかかる傾向が。特に時間が経つほど記憶が曖昧になり、思い出すところから始めるのは大変ですよね。

情報を早めに整理することでその場の情景を忘れにくくなるので、それが執筆時の集中力を高めてくれるのではないでしょうか。

記憶が新しいうちに情報を整理しておくことで、執筆する際、より的確に伝えたいポイントが見えてきます。疲れていると後回しにしたくなりますが、「整理=復習」の感覚で取り組むと思い出す手間が省けるので、次の取材のモチベーションにもつながるでしょう。

集中力は「慣れ」と「小さな工夫」で育つ

取材中に集中し続けるのは、簡単なことではありません。ですが、事前準備や当日の動き方、心の持ちようを少しずつ工夫することで、かなり変わってきます。

私は特別なスキルがあるわけではありませんが、ちょっとした工夫を続けていくことで、以前よりも取材中に気持ちがブレにくくなりました。集中力が切れやすくても、準備と慣れで乗り切れるようになります。

今回の記事が少しでもライターの皆さんのお役に立てたら嬉しいです。

この記事を書いたライター

執筆者

清水華那

占い師の顔も併せ持つフリーライター。エンタメに関する記事を多く執筆。SEO、現地取材、シナリオ作成などが得意。会社員から副業期間を経てフリーランスへ転身。今後はフットワークの軽さを武器にさまざまなことに挑戦したい。わかりやすく、読...

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