コンプライアンスとはなにか

コンプライアンスとはなにか

そもそもコンプライアンスとは、英語の”compliance”のことで、意味としては「規則や法令に従うこと・遵守すること」となります。つまり元々はルールを守ることを意味していたのですが、時代が進むにつれて、その概念や意味は大きく広がってきています。

現在では、法律や規則はもちろん、道徳感や社会倫理、企業倫理など、広く社会規範全体を指す言葉として使われています。こうした背景には、社会の情報化が大きく関わっていると考えられます。情報整備がされる前はまかりとおっていたことが、情報が流通するようになり、多くの人の耳目に触れるようになったことで、批判を避けられなくなりました。

さらに現在では、SNSが普及したこともあり、一個人が情報を広めることができるようになり、監視の目はさらに広まっています。

また、道徳や倫理観自体も変化しており、差別的な内容や暴力的な内容は批判を受けやすく、リスク回避のために避けられるようになっていきました。まさしく『ペンは剣よりも強し』という時代になったと言えるでしょう。

ですが、本来ペンを握る側のライターにも、コンプライアンスは容赦なく襲いかかってきます。

コンプライアンスとの戦い

コンプライアンスとの戦い

Web業界にも当然、コンプライアンスの波は押し寄せています。特に影響が大きい範囲としてはコンテンツ企画などの部分があります。

ユーザーからのマイナスイメージを受けないために、提供するコンテンツ内容はかなり慎重になっていると感じたことはないでしょうか?批判や否定までいかなくても、少しでも特定のサービスや人、商品などにマイナスなイメージを持たれかねないものについては基本的に受け入れられません。

また、あまり機会はないですが暴力的な内容を描写するようなものも当然ながら受け入れられません。企画を尖らせようとする場合、どうしても少し挑発的・攻撃的な企画になりがちですが、そのような企画はまず採用されなくなってきています。

ライターの立場で言えば、禁則用語などが増えてきていると実感しています。差別的な用語、強いマイナスイメージの言葉は使用できないようになっているほか、スラングやかつての流行語なども使用してはいけないと戻しを受けることがよくあります。その他、欠点を表すような言葉の言い換えを求められることも多くなっています。

私の場合、心理診断コンテンツなどに携わる機会が多かったのですが、タイプごとの短所をいかにマイルドに伝えられるかに苦心していました。例えば、「怒りっぽい」が「感情の起伏が激しい」となったり、「神経質」が「何事も予定通りに進めたいタイプ」と変換したことがあります。

その他にもSNSの投稿文などは特に慎重を期する必要がありますSNSはユーザーと直接つながることも可能ですし、共有・拡散も容易なので、ちょっとした言葉の綾が大炎上につながる場合もあるのです。

コンプライアンスとの付き合い方

確かに炎上は恐ろしいですし、誰だってリスクは避けたいもの。コンプライアンスの重要性は重々承知しているつもりです。しかし一方で、コンテンツ制作者としては、もっと攻めたことをやってみたいと思うのもまた真理です。

ギリギリ昭和生まれの身としては、やはり面白いコンテンツというものは、どこかリスクをはらんでいるものだとどうしても思ってしまう部分があるのです。実際、バズるコンテンツというものは往々にして賛否両論分かれるものが多いような気がします。

ダメだとわかっていても、攻めていきたい…。それがやはりコンテンツ制作者というものではないでしょうか。

とはいえ、採用されないテキストや企画ばかり作っていては、ライターとしての評価は下がる一方。では、どのようにコンプライアンスと付き合っていけばよいのでしょうか。

私の場合は、余裕があれば複数案用意する、ということをやっていました。

企画であれば、そのとおり複数の企画案を用意し、原稿であればプロットの段階で複数案用意するようにしています。

内容としては、安全で無難なもの・内容を尖らせたもの・折衷案の3つが基本です。実感として両極端な企画の間に、それぞれの要素をうまくブレンドしたものを織り交ぜると、折衷案が採用される確率が高くなります。

クライアント側としては攻めた内容にどうしても慎重にならざるを得ません。そのため、できるだけ企画内容に具体性を持たせ、リスクやメリットを併記することで不安材料をなくしていくことができます。

もちろん、原稿作成の段階で慎重を期した戻しはどうしても入ってくるのですが、この方法であれば、攻めた企画をある程度実現し、かつ、「あの人はいろんな引き出しがある人だ」と、ライターとしての評価も上げることができるでしょう。

副次的な効果として、企画の出し戻しが少なくなるというメリットもあります。ひとつしか企画を出さないと、さまざまな要望が出てくるのですが、複数案を提示すると、その中から選ぼうという意識が働き、建設的な議論が起こりやすくなります。

以上、どちらかといえばコンプライアンスというよりもクライアントとの向き合い方になってしまった感がありますが、いかがだったでしょうか。

企画にしろ、原稿にしろ、安全で扱いやすいものを出すことは大切ですが、その方向性に慣れすぎてしまうと、持ち味が鈍くなっていってしまいます。

クライアントに迷惑をかけないことは大前提としてありますが、コンプライアンスをよく理解した上で、クライアントを乗せる形で攻めた企画をどんどん提案していきましょう!

この記事を書いたライター

執筆者

じょん

一児の父でアラフォーライター。
Web制作会社にてライターとしてのキャリアを積みながら、副業ライターとして活動中。得意分野はエンタメ系。興味のある分野では作成する文章にも地が出がち。座右の銘は「ライターは文化的雪かき」。鈍く光る職...

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