そこまでプロレスが好きな理由

本題に入る前に、プロレスが好きな理由を述べさせていただきたい。ちなみに読者の皆さんはプロレスと聞いて、なぜ技を避けないのかと思ったことはありませんか。
筆者がよく聞かれる疑問は以下の通りです。
- ロープに振られて返ってくるのはなぜ
- コーナーポストから飛んでくる相手を避けないのはなぜ
- 蹴ったり、殴られたりしても避けないのはなぜ
など、確かに疑問を抱くのも当然だなと思うものばかりです。ただプロレス界には「受けの美学」という言葉があり、技を避けないところにプロレスの魅力があります。技を受けて相手の力を引き出すという考え方です。
ファンは技を避けあう試合が見たいわけではありません。肉体を鍛えた者同士がぶつかり合って生まれる物語を楽しみたいのです。
ボクシングなどの他の格闘技は、いかに避けて相手にダメージを与えるかを競い合っています。プロレスとは似て非なるものです。
さらに、ボクシングなどの格闘技の試合は、多くても3か月に1回ほどの出場でしょう。プロレスラーは週に2回以上、リングに立っています。極限まで肉体をぶつけ合う試合を週に2回以上も行うなんて、自分には到底できません。
ファンが望むのであれば、自らの肉体を削ってでもリングに立つのがプロレスラーなのです。筆者は彼らの生き様にリスペクトを抱きながら接しています。
プロレスとキャッチコピー
プロレスへの想いはこれくらいにして、ライター目線で見たプロレスについて語っていきます。
ライター目線で、プロレスに注目していただきたい理由が「キャッチコピー」です。プロレスファンでなくても「燃える闘魂」といえば「アントニオ猪木」だとご存知でしょう。プロレスをあまり知らない人にも存在を知ってもらうには、印象に残るキャッチコピーは不可欠です。
かつて年末の番組で芸人をビンタする役で登場していた「蝶野正洋」は「黒のカリスマ」と呼ばれていたし、2mを超える身長の持ち主である「アンドレ・ザ・ジャイアント」は「人間山脈」と呼ばれていました。
ただ、時代の流れと共にプロレスラーのキャッチコピーは内向きになってしまい、いつしかファン以外には届かないものになっていたように思えます。「オカダカズチカ」が「レインメーカー」と呼ばれていることや、「棚橋弘至」が「100年に一人の逸材」と呼ばれていることもファン以外には知られていないでしょう。
商品を知らない人に覚えてもらうためのキャッチコピー作りの難しさがうかがえます。
九州プロレスとの出会い
2024年のある日、筆者がYouTubeでプロレス動画を見ていると「九州プロレス」がおすすめにあがってきました。プロレス団体も多団体化が進み、どこにプロレス団体があってもおかしくない時代です。「九州にも地域団体があるんだな」というくらいの軽い気持ちで視聴し始めたのですが、すっかりハマってしまいました。
九州プロレスは、2007年にプロレスラー・筑前りょう太が立ち上げた団体です。世界的にも珍しいNPO法人が母体となっている組織です。筆者はこの話を知って、どうやって運営しているのだろうかと興味がわいていきます。
しかも、現在は観戦料を無料にして、会場には子どもからお年寄りまで多くの人が集まる人気団体になっています。ここまで来ると疑問しかでてきません。実際に、九州プロレスの運営モデルが素晴らしいと知り、世界一のプロレス団体で活躍していた「TAJIRI」まで入団するほどの影響力を持つようになっています。
なぜここまでの影響力を持つようになったのか、筆者なりに考えてみました。
「九州ば元気にするバイ!」

ひとつは九州プロレスが掲げるキャッチコピー「九州ば元気にするバイ!」が浸透している点にあります。興行を締めくくる試合が終わるとリング上のレスラーと会場が一緒になって、キャッチコピーを叫びます。
団体が立ち上がった当初はまだ浸透しておらず、一緒に叫ぶ人は少なかったかもしれません。それでもやり続けることによってファンの心をつかみ、多くの人の目を集めるようになったのです。「九州を元気にするバイ!」というキャッチコピーは、九州の人であればつい反応してしまうのではないでしょうか。
もうひとつは熱量です。もともと九州プロレスは、理事長である筑前りょう太の「プロレスを通して九州を元気にしたい」という気持ちがベースになっています。彼らが提供するのはプロレスだけではありません。介護施設や養護施設を慰問して、多くの人に元気を分け与えています。
熱量に基づく行動は、各地域の企業や行政の心も動かします。企業からの寄付金や行政の支援もあって、九州プロレスは無料での興行を続けられるようになっています。
言葉と熱量には、これだけの力があるのだなと考えさせられました。
まとめ
筆者がプロレスを愛するように、各ライターにも愛する何かがあるのではないでしょうか。あなたが愛する何かに対しては自然と熱量が込められるものです。その熱量を文字に変える機会が、Mojiギルドのコラムにはあるのだと感じています。
九州プロレスは、PayPayドームでの20周年記念大会の開催を目指しています。満員のドームで「九州を元気にするバイ!」の声が響いたとき、どんな熱量が生まれるのでしょうか。今からとても楽しみです。
この記事を書いたライター

にのまえはじめ
パーソナルトレーナー、システムエンジニアなど複数の顔を持つ複業ライター。得意ジャンルはアニメ・漫画、ゲーム、特撮などのサブカルチャー、IT・システム開発関連、インタビュー記事など。クライアントからは「執筆速度の速さ」「斜め上の考...