オタクにこそライターをすすめたい理由(まずは結論)
「オタクをしている方は何のお仕事をしているんですか?」
SNSで何度も見かけるこの質問。推し活に没頭したことがあるオタクなら、一度は疑問に思ったことがあるはず。そんなオタクの皆様にぜひ知っていただきたい職業の1つが「ライター」です。
推し活には時間もお金もかかります。ライブやイベントの参加、グッズ購入、聖地巡礼など、オタクライフを充実させるには安定した収入と自由な時間が欠かせません。でも会社員として、8時間×週5日働いていると、「チケット販売と大事な会議の時間が被った」「残業で夜公演に行けない」といった悲劇に見舞われることも。
しかし、ライターは時間の自由度が高く、場所を選ばずに働けるため、推しの活動スケジュールに合わせて柔軟に仕事を調整できます。
さらに、実はオタクはライターにとても向いています。オタクが持つ「深く調べる力」「熱量を持って語る力」「ニッチな分野への専門性」といった特性は、ライティングに直結するスキルです。また、オタク知識や経験を直接活かせるライティング案件も豊富にあります。
ちなみに、オタクの特性とライターへの適性については、筆者の過去記事「マニアとオタクこそライターになれ!」で詳しく解説しているので、併せてご覧いただけますと幸いです。
※この記事では、フリーランスライターや業務委託で活動するライターなど、比較的フレキシブルに働けるライターを想定しています。企業に所属するライターの場合は、勤務時間や場所に制約が生じる可能性があります。
ライターなら「推しの予定 > 仕事の予定」が叶う!
「推しの俳優の舞台が決まった!……待って、この日絶対有給取れない日じゃん。終わった」
これは筆者の実体験です。私だけでなく、多くの社会人オタクが一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
私が新卒で勤めていた会社は、自分の担当のクライアントとのアポイントメントが毎週決まった曜日・時間に入っていたため、なかなか有給が取りづらい環境でした。取れなくはないのですが、「急遽推しのスケジュールが決まったから、来週休ませてください!」というのは現実的ではなく、泣く泣く見送ったイベントが何度あったか…。
でも、ライターになった今は、この絶望的な状況とは基本的におさらばできています!
それは、ライターという仕事の以下の特徴のおかげです。
- 仕事・プライベートのバランスを自分でコントロールできる
- 締切さえ守れば働く時間は完全に自由
仕事・プライベートのバランスを自分でコントロールできる
まず、仕事・プライベートのバランスを自分でコントロールできるのがライターの最大の魅力。推しが急にインスタライブを始めても、限定グッズ販売が突然発表されても、もう「仕事中だから見られない…」と悔しい思いをする必要はありません。
<h3>働く場所を選ばない</h3>
働く場所を選ばない自由さも、オタクにとってはありがたいポイントです。
例えば私は、推しの地方公演へのための遠征は「ワーケーション」だと捉えています。新幹線で執筆、ホテルでメール対応、現場の合間にはカフェで原稿完成。むしろ現場までの時間が限られているからこそ、いつもよりも生産性高く、短い時間で集中して仕事に没頭できている気がします。
締切さえ守れば働く時間は完全に自由
そして何より、締切さえ守れば働く時間は完全に自由。推しの生配信が終わってから深夜に作業をしたり、好きなアニメの放送時間はミーティングを入れなかったり。推し活ファーストなライフスタイルを、罪悪感なく堂々と送れます。
もちろん、ビジネスパーソンとして果たさなくてはいけない責任はあります。また、会社員と違って決まったスケジュールがないため、己を律する力が非常に重要です。
しかし、「やるべきことさえやっていれば、他は何も言われない」。ライターは、そんな自由なライフスタイルを叶えられる夢のような職業だと筆者は思っています。
【オタクである筆者が実践中】推し活と仕事を両立するための時間管理術
推し活とライター業の両立を5年以上続けてきた私が断言します。オタクライターの時間管理のカギは「推しを生活の中心に据えること」です。
「えっ、仕事より推しを優先するの?」と思われるかもしれませんが、これには理由があります。
オタクにとって推し活は単なる娯楽ではありません。私たちの生きるモチベーションであり、すべての活力の源泉といっても過言ではありません(過言かも)。
そんなオタクたちが、仕事に忙殺されて推しとの時間を取れなくなったらどうなるでしょうか。そう、何も手につかなくなります。つまり、仕事において最高のパフォーマンスを出すためにも、「推し不足」の状態は絶対に避けなくてはなりません。
では、ここからは、実際に私が推し活と仕事を両立するために実践している3つのポイントを紹介していきます。
- オタ活やプライベートの時間を先に入れてから仕事の予定を立てる
- 週に1日何も予定のない予備日を作る
- 推しの活動サイクルに合わせて仕事量を調整する
オタ活やプライベートの時間を先に入れてから仕事の予定を立てる
「推しは推せる時に推せ」。
仕事を優先してまた次回でいいやと見送ったイベントが、大好きな推しに会える最後のチャンスになってしまうなんてことも…。
そんな悲劇を避けるためにも、オタクライターがスケジュール管理を行う際にまずやるべきことは、推し活のスケジュールを「動かせない予定」としてカレンダーに入れることです。
私の場合、推しのライブやイベント情報が発表されたら、即座にカレンダーにブロックします。そして、家族や友達との時間など、プライベートの大切な用事もこの段階で決定。その後で、空いた枠で仕事の予定を組み立てています。
月初めに推しの公式サイトやSNSをチェックし、その月の重要な日程をすべて洗い出してみましょう。ライブ、握手会、新グッズ発売日、アニメの放送日など、自分にとって大事な時間を全部カレンダーに入れる。そうすることで「仕事をする日」と「プライベートを楽しむ日」の境界線がはっきりします。
場合によっては、昼はオタ活・夜は仕事のように、1日に両方詰めてしまうのも良いでしょう。筆者は、以下のようなスケジュールを組むこともあります。
- 9:00~10:00 クライアントとのミーティング
- 10:00~11:00 移動
- 11:00~12:30 推しのイベント(1部)に参加
- 12:30~13:30 ランチ
- 13:30~17:00 カフェで仕事
- 17:00~18:30 推しのイベント(2部)に参加
ちなみに、予定を詰め詰めにしすぎると、仕事を終わらせるために徹夜をして、「感動のバラード曲で眠気がピークに…」なんてことにもなりかねないので、無理のしすぎは禁物です(実体験)。
週に1日何も予定のない予備日を作る
オタ活にはサプライズがつきもの。推しが急にインスタライブを始めたり、限定グッズが予告なしに発売されたり、好きな作品の重大発表があったり。そういった突然のお知らせにより、予定していた仕事のスケジュールがこなせないこともあるでしょう。
こうした「緊急事態」に対応するため、筆者は週に1日は完全フリーの日を確保しています。この予備日は、特に何も発生しなければ、休まずに作業日として使うのがおすすめです。「今日進めておくと後々の私が楽になりそう」という仕事を積極的に片づけましょう。
「何かあっても大丈夫」という安心感は、日々の作業効率も格段に向上させてくれます。また、予備日があることで、何か突発的な推し活イベントが起きた時にも諦めずに済みます。
推しの活動サイクルに合わせて仕事量を調整する
オタ活には、基本的に「波」があります。ライブツアーやメディア出演が集中する忙しい時期と、比較的静かな時期。私はこのサイクルをなんとなくの年間スケジュールとして把握し、仕事の配分を調整しています。
推しが忙しい時期は、必然的に私も忙しくなります。この時期に無理に大きな案件を入れてしまうと、推し活を我慢せざるをえなかったり、逆に推し活に集中しすぎるとお仕事に身が入らなくなってしまったり、どちらも中途半端になりかねません。
一方、推しの活動が落ち着く時期は、私にとっての「稼ぎ時」です。新しい案件獲得のために営業活動に力を入れたり、いつもより多めに案件を受けたりして、次の推し活シーズンに向けた資金を蓄える。
「推し活を楽しむ時期」と「仕事に力を入れる時期」のメリハリをつけることで、オタ活ライフをエンジョイしつつ、ビジネスパーソンとしての成長も実現できます。
推し活資金を安定して確保!収入の不安を減らすコツ
推し活とライター業を両立する上で避けては通れないのが「収入」の問題。
「新しいグッズが欲しいけど、来月の収入が見えないから買おうか迷うな…」「来月お金厳しそうだから、遠征諦めようかな…」そんな不安を抱えながらでは、心から推し活を楽しめませんよね。
私自身、フリーランス転身当初はお金のことがとにかく不安で、推しのライブチケットを前に「本当に買っていいのか」と悩む日々が続きました。実際に、生活を優先するために諦めた現場も数えきれないほど。
しかし、現在は推し活に多少お金を使いながらも、生活水準を落とさなくて良いくらいの収入基盤を築けるようになりました。
ここでは、その秘訣を紹介します。
- 継続案件を複数確保して収入のベースを作る
- 収入の波を予測して「推し活資金」を計画的に貯める
継続案件を複数確保して収入のベースを作る
フリーランスライターは、会社員と違って毎月決まったお給料がもらえるわけではありません。わかりやすく言えば「出来高制」。自分が受けた案件の分だけお金がもらえるシステムです。
しかし、「たくさん稼ぎたい」と思っても、案件がなければそもそも働くことすら叶いません。
そこで、ライターが収入を安定させるためには、「継続案件」の確保が非常に重要です。単発案件ばかりでは、毎月営業に追われ、推し活どころではなくなってしまいます。また、案件が取れなかった月は収入が少なくなり、推しにお金を使っている場合ではないどころか、最悪もやしばかり食べる生活のスタートです。
私は独立当初、「月◯◯万円の継続案件ベース + 単発案件で上乗せ」という構造を目指していました。例えば、A社のオウンドメディアで月10本(10万円)、B社のブログで月5本(5万円)、C社のSEO記事で月4本(4万円)といった具合に、複数のクライアントから定期的な発注をいただくことを目標にしていました。
そして、この固定の継続案件にプラスして、プライベートの忙しさに合わせて単発案件の量を受ける量をコントロールすることでバランスを取っていました。
継続案件を獲得するコツは「小さく始めて信頼を積み重ねる」こと。最初は単発案件でも、期日を守り、クオリティの高い記事を継続して納品していれば、自然と「次回もお願いします」という声がかかります。
収入の波を予測して「推し活資金」を計画的に貯める
ライターの収入には波があります。例えば、年末年始やお盆休み期間は企業の発注が減り、逆に新年度前や決算期前は案件が集中するといった傾向があります。この収入の波を把握して、推し活資金を計画的に貯めることが重要です。
推しが忙しくなる時期の前月までに多めの案件を受注し、推し活費用を先取りで確保。逆に推しのイベントが多い月は新規案件を控えめにして、推し活に集中できるよう調整するといった具合です。
私の場合、eスポーツの取材案件を継続的に受けているのですが、9月には「東京ゲームショウ」の開催によって発注が増えるといった傾向があります。どの業界にも「閑散期」と「繁忙期」があるので、そのサイクルを把握しておくと、効率良く稼ぎながらオタ活も存分に楽しめるでしょう。
余談ですが、筆者がこれを書いているのは9月。例年通り繁忙期なのですが、なんと韓国の推しの日本活動期間がどん被り。自分の仕事も忙しいのに、連日ファンミーティングやイベント三昧で、1日4時間睡眠を1週間ほど続けてしまっています…。仕事を終わらせるために朝3時に起きて、イベント整理券の列に並びながら仕事を進めた日も。
どれだけ計画を練っていてもこういった避けられない事態は起きます。そんな時は、腹を括って、エナジードリンク片手にノリと気合いで乗り切るしかないです。体を壊さない程度にがんばりましょう。
でも後から振り返ると、限界突破級の忙しさも含めて、全部まるっとかけがえのない思い出になっているはずです。推しに会えなかったことを後悔することはあっても、推しに会ったことを後悔することはありません。
まとめ|オタ活も仕事も諦めない!推しも生活もどっちも大事!
「また推しのイベントを仕事で諦めた」「毎日仕事で忙しすぎて、推しのYouTube見る気すら湧かない」そんな毎日に疲れていませんか?
私も会社員時代は同じでした。推しの重要な発表があってもクライアントのアポイントメント中で確認できない、ライブの抽選結果を職場のトイレでこっそりチェック、有給を使うのにも気を遣って結局イベントを諦める…。「なんで好きなことを楽しむのにこんなに苦労しなきゃいけないんだろう」と何度も思いました。
でも今は違います。推しの生配信を見ながら仕事をして、全国のライブに合わせて出張気分で各地を回り、新グッズの発売日には必ずスケジュールを空けておく。そんな自由気ままな生活を楽しみながら、プライベートも仕事も大充実しています。
「そんな生活ができるのなんて、一部の才能ある人だけでしょ?」と思うかもしれません。でも実際は、オタクが持つ「好きなものを深く調べる力」や「継続する情熱」こそが、ライターに必要な適正。つまりはオタクの皆さんはライターに必要な「才能」を持っている人たちです。
もちろん最初から順風満帆にとはいきません。収入が安定するまで時間はかかりますし、営業活動に心が折れることもあるでしょう。
でも「推しのためにがんばる」というモチベーションがあれば、きっと乗り越えられるはずです。
もしあなたが「好きなことを我慢しない働き方」を叶えたいなら、ぜひ「ライター」を候補の1つに入れてみてください。皆さんの推し活ライフ、そしてライター人生が豊かになることを心から願っています。
この記事を書いたライター
Haruka Matsunaga
おしゃべりが止まらない5か国語話者ライター。二次元にも三次元にも推しがとにかく多すぎるオタク。素敵なものや自分の好きなものをとにかくたくさんの人に広めたいという気持ちが執筆のモチベーションです。ペンは剣より強し、言葉の力を信じて...

