【実体験レポート】私が経験したヤバすぎ案件3選
まずは、私が実際に遭遇した「これはヤバかった…」というケースを3つご紹介します。どれも当時は「まさかそんなことが」と思いましたが、振り返ってみると明確な予兆があったものばかりです。
私の体験を反面教師に、ヤバそうな案件には近づかないようにお気をつけください。
- 案件チャットから突然ライターが退会させられる
- 約束した支払い期日を過ぎても報酬が振り込まれない
- 契約時には含まれていなかった追加業務を要求される
案件チャットから突然ライターが退会させられる
複数のライターが参加するグループチャットで案件を進めていたのですが、ある日、レギュレーションや支払い方法について、当初聞いていた内容と異なる部分が生じました。
そこで、あるライターの方がチーム責任者に対して「最初に説明していただいた内容と違うようですが、詳しく教えていただけませんか?」といった説明を求めるメッセージをグループチャットに投稿しました。至って普通の、建設的な質問だったと思います。
ところが、その直後に責任者がそのライターを何の説明もなしに突然グループチャットから退会させてしまったのです。私たち他のメンバーも、何が起こったのか全く理解できない状況でした。
すぐにそのライターから私に個別で連絡が来て、「突然退会させられてしまったのですが、何の説明もない状態です。グループチャットで何か動きがあったら教えてもらえませんか?」と相談されました。結局、そのライターはその後責任者と一切連絡が取れなくなってしまい、案件が強制終了のような形になってしまったそうです。
私自身は特に不利益を被ったわけではありませんでしたが、質問をしただけで説明もなく退会させるような責任者の元で働くのは不安だと感じ、担当していた案件が終了してからは継続をやめました。
約束した支払い期日を過ぎても報酬が振り込まれない
継続的にお仕事をいただいていたクライアントとの案件で起こった出来事です。
受けた仕事内容はきちんと完遂させており、不備も指摘されておらず、納品は完了していました。また、それまでは約束の期日通りにきちんと報酬が振り込まれていたため、信頼していたクライアントでもありました。
ところが、ある月だけ、いつもの支払い日になっても報酬が一向に振り込まれない…。遅延の連絡なども一切なく、「何かトラブルがあったのかな?」と思い、こちらから連絡を取ってみることに。
すると、「メディア側の支払いが遅れていることにより、ライターへの支払いも遅くなっている」とのことでした。つまり、クライアント側もメディアからの入金が遅れているため、ライターへの支払いができない状況だったのです。
最終的には、約束の期日を過ぎて数日後に、支払いが遅れる旨がライター陣に一斉通知されました。結局、報酬は振り込まれましたが、この対応に大きな不信感を抱いてしまいました。
支払いが遅れてしまうトラブルが起きてしまうことについては、理解できます。しかし、それがわかった時点で事前に連絡をくれない、こちらから問い合わせるまで何も言わないという姿勢には問題があると感じました。今後も未払いの可能性があるのでは、と不安になり、その案件は継続をやめることにしました。
契約時には含まれていなかった追加業務を要求される
記事執筆案件で、当初は5,000文字の記事執筆のみという条件で契約を結んでいた案件での出来事です。
契約書にも「記事執筆」とだけ記載されており、その他の業務については一切触れられていませんでした。
ところが、記事を納品した後になって「画像選定もお願いします」「入稿作業もやってもらえますか?」など、当初の契約には含まれていない追加業務を次々と要求されました。しかし、追加の業務が発生することに対して、追加の報酬が出るわけではありません。
まだライター駆け出しの頃に受けた案件ということもあり、追加業務をやらなかったことで、執筆した記事の支払いがされないのではないかと不安がありました。そのため、言われるがままに追加作業も行ってしまったのです。
しかし、追加作業も含めて計算してみると、割に合わない契約条件でした。画像選定や入稿作業は思った以上に時間がかかり、当初想定していた倍以上の工数になってしまったのです。そのため、次回からの継続はお断りすることにしました。
ところが、しばらくすると、おそらくライターが足りなくなったのでしょう。「単価をアップしますので、再び案件を受けてくれませんか?」という連絡をもらいました。
条件面では魅力的に感じる部分もありましたが、前回の対応への不信感があったため、お断りすることにしました。一度でも契約条件を後から変更するようなクライアントとは、長期的な信頼関係を築くのは難しいと判断したからです。
実体験から見えた!危険クライアントの共通点
これらの体験を通じて見えてきたのは、問題のあるクライアントには明確な共通点があるということです。ここでは、特に注意すべき3つの特徴をご紹介します。
少しでも当てはまる部分があれば、もしかしたら要注意クライアントかもしれません。
- コミュニケーションに問題がある
- 予算・条件設定が不適切
- 要件定義が曖昧すぎる
【共通点1】コミュニケーションに問題がある
ヤバい案件に共通しているのは、クライアント側のコミュニケーションに何らかの問題があることです。
例えば、質問をしても返答が曖昧だったり、返答が極端に遅かったりする場合は要注意です。また、雑にタスクを依頼するクライアントの場合、後出しで追加の仕事を依頼されてしまうケースもあります。
「明日までにこの記事をいい感じにリライトできませんか?」
といったように、指示出しの抽象度が高いクライアントは要注意です。
さらに気をつけたいのは、リスペクトに欠ける言動を取ってくるクライアントです。例えば、いきなり敬語を使わずにタメ口で話しかけてくるような相手とは、基本的に長期的な信頼関係を築くのは難しいでしょう。
「そんな非常識な奴いないだろう」と思うかもしれませんが、悲しきかな意外と存在するのがライター業界の怖いところ。
もし、グループチャットに所属している場合は、自分に対してだけでなく、他のライターに対する態度もチェックしてみることをおすすめします。一人のライターに対して横柄な態度を取るクライアントは、遅かれ早かれ自分に対しても同じような態度を取ってくる可能性が高いからです。
また、SNSアカウントがわかるようであれば、投稿内容を確認してみるのも有効です。他人を攻撃するような投稿をしていたり、感情的な発言が多かったりする場合、仕事上でも感情的になりやすい傾向があります。少しでも違和感があるのであれば、基本的には関わらない方が賢明です。
私の経験では、最初のやり取りで違和感を覚えたクライアントは、その後も必ずと言っていいほど何らかのトラブルを起こしています。コミュニケーションは仕事の基盤です。ここがしっかりしていないクライアントとの仕事は、避けた方が良いでしょう。
【共通点2】予算・条件設定が不適切
危険なクライアントの多くは、予算設定や条件設定に問題があります。
まず、明らかに相場を下回る低単価を提示してくるケースです。「1文字0.5円」「5,000文字の記事を2,000円で」など、常識的に考えて割に合わない条件を平然と提示してきます。こうした条件を提示するのは、ライターを「安い労働力」としか見ていない証拠です。
また、予算については曖昧にしたまま、「まずはテストライティングから」と言って実質的に無償で作業させようとするパターンも要注意です。テストライティング自体は悪いことではありませんが、5,000文字を超えるような大量の文章を無償で書かせるのは明らかに異常です。
テストライティングについては、可能であればテスト開始前に契約書を結ぶことをおすすめします。もし「テストライティング通過後に契約書を結ぶ」という案件の場合は、報酬の支払いが発生するテストライティングの方が安全です。無償のテストライティングでは、書いた文章を不正に利用されてしまう可能性があるからです。
ただ、本来報酬が発生するという約束で進めていたにも関わらず、未払いトラブルが発生するという可能性もあるので、やはりクライアントが信頼に値するかどうかは事前によく確認しましょう。
また、テストライティングはこちらがスキルを見られるだけの場ではなく、ライター側もクライアントを見極める重要な機会でもあります。適切なフィードバックがあるか、コミュニケーションに問題がないか、レスポンスのスピードは適切かなど、こちらも相手をしっかりと見極めて、継続的に仕事ができるかを判断しましょう。
【共通点3】要件定義が曖昧すぎる
最後に、もう1つのヤバい案件の特徴として、仕事の内容や求められる成果物が曖昧すぎることが挙げられます。
「読者に刺さる内容でお願いします」など、具体性に欠ける指示しか出さないクライアントは要注意です。こうした曖昧な指示は、後から「イメージと違った」「求めているクオリティに達していない」といった理由で修正を要求される原因になります。
また、納期についても「できるだけ早く」「急ぎでお願いします」といった曖昧な表現を使うクライアントは、計画性がなく、ライターの都合を考慮しない傾向があります。
逆に、信頼できるクライアントは、記事の目的、ターゲット読者、文字数、構成案、参考資料、納期などを明確に提示してくれるでしょう。要件が明確であればあるほど、ライター側も安心して取り組むことができますし、後々のトラブルも避けやすくなります。
この辺りの指示出しの粒度感も、テストライティングの時にチェックしておきたいポイントです。
まとめ|「ヤバい案件」を見極める目を養って自分を守ろう!
本記事では、私の実体験をもとに、危険なクライアントの特徴や避けるべき案件の見極め方について解説してきました。
確かに、ライター業界には残念ながら一定数の「ヤバい案件」が存在します。しかし、これらの特徴を理解し、事前にしっかりと見極める目を養うことで、トラブルに巻き込まれるリスクを大幅に減らすことは可能です。
最初のうちは「仕事を断るのが怖い」「実績がないから選り好みできない」と感じるかもしれません。私自身も駆け出しの頃は、明らかに条件の悪い案件でも「経験のため」と思って受けてしまうことがありました。
しかし、ヤバい案件を受けることで失うものは、報酬や時間だけではありません。ライターとしての自信やモチベーション、そして下手な案件に関わると自身の信頼まで損なわれてしまう恐れがあります。
だからこそ、自分を守るためにも、しっかりとした基準を持って案件を選ぶことが大切です。この世界で生き残っていくためには、疑り深すぎるくらいでちょうど良いです。ヤバい案件に引っかからないように、常に油断せず、緊張感を持って日々の仕事に取り組んでいきましょう。
この記事を書いたライター
Haruka Matsunaga
おしゃべりが止まらない5か国語話者ライター。二次元にも三次元にも推しがとにかく多すぎるオタク。素敵なものや自分の好きなものをとにかくたくさんの人に広めたいという気持ちが執筆のモチベーションです。ペンは剣より強し、言葉の力を信じて...

