Webデザイナーからライターにチャレンジ!

ーーまずは簡単に自己紹介をお願いします。
Web制作会社勤務を経て、2015年に独立したフリーランスのライターです。普段はライティングやWeb制作業務を中心に活動しています。
ライター歴は15年ほど。SEOライティングやセールスライティングをメインに、文字起こしからのインタビュー原稿作成、紙媒体でのライティングなども幅広く受注しています。
ーーライター業とWeb制作業をかけもちされているということでしょうか?
一応そうなりますが、現在はライティングとWeb制作が8対2ぐらいの割合ですね。起業した当初は比率が逆でしたが、コロナ禍でWeb制作の仕事が激減してしまい…その頃からライターがメインになりました。
今は専門知識がなくてもWebサイトを作れる時代ですし、お店の情報発信はSNSが中心です。今後Web制作の仕事が増えるとは考えにくく、ライターが10割になる日も近いと感じています。
ーーライターになるまでの経緯を教えてください。
2010年頃、家庭の事情で会社を退職し、一時的にフリーのWebデザイナーとして働いていたんです。地元のWeb制作会社から、業務委託で仕事を受注していました。
あるとき、農業機械メーカーの新規サイトを立ち上げる案件がありまして。コンテンツの1つで、実際にメーカーの機械を愛用しているユーザーのインタビューを掲載する予定でした。
ところが、クライアント側でいつもインタビュー記事作成をお願いしている外注先の方が急病になり、困っていると聞かされたんです。そこで自分にやらせてもらえないかとお願いしてみました。ライターとして仕事をしたのは、それが初めてです。
ーーライター未経験でいきなりインタビュー記事作成に挑戦することに、不安はなかったのですか?
当時はブログ全盛期で6年ぐらい日記を更新しておりまして、日常的に文章を書いていたんです。もともと書くことが好きで、恥ずかしながら若い頃はミステリ作家になりたくて、何度か賞にも応募していました。
また、Web制作の仕事には、サイトに掲載する文章を考える「文言作成」があります。私は普段から文言作成も承っていて、商業用の文章を書くことにも慣れていたので、不安は感じませんでした。
初仕事は大失敗!差し戻し原稿が真っ赤に…

ーー実際にインタビュー記事を作成してみていかがでしたか?
1本あたり約60分の音源でしたが、難しいと感じたのは方言がよく聞き取れなかったことぐらいで、文字起こしの作業や記事作成はスムーズに進められました。思っていたよりも簡単だな、と。しかし、それは大きな勘違いだったと後に思い知らされます。
提出した原稿が、真っ赤になって戻ってきたんです。小説家志望だったので「赤入れ」の意味は知っていたものの、実際に戻ってきた原稿は赤を入れるどころか赤く染まっていました。
自分から申し出ておきながら真っ赤な原稿が返ってくるなんて…と、猛烈な恥ずかしさに襲われたのを今でも覚えています。
ーーそこまで赤字が多かったのは、何が原因だったのでしょうか?
当時の私は、インタビュー記事作成とは音源から肉声を拾い上げて文章にするだけの作業だと思っていました。でも、実際はその先が長いのです。話を要約したり、意味が伝わりにくい言葉をわかりやすく置き換えたりして、読者が読みやすいような工夫をしなければなりません。
また、話の流れがおかしくならないよう、構成を考える必要もあります。インタビューが必ずしも順序立てて進行するとは限らず、むしろその場のノリで話が飛びまくることも多いのです。インタビュアーが思いつきで質問する場合も多々あります。
なのに、私はインタビューの内容を頭からそのまま書き出していたんです。結果、記事の序盤に「商品を買ってよかった点」がきて、最後が「商品を購入したきっかけ」で終わるという支離滅裂な流れに…。今思うと、よくそのまま提出したものだと不思議でなりません(笑)。
ーーライターデビューから貴重な経験をされたのですね(笑)。そこでライターをやめようとは思わなかったのですか?
差し戻し原稿は真っ赤でしたが、実はお褒めの言葉もいただけたのです。同じ文末表現を繰り返さない、一文の長さに気をつける、といった基本的な文章力については合格点をもらいました。小説を書いていた経験が役に立ったと思っています。
もしあの時褒めてもらえなかったら、すっかり心が折れてしまって今頃ライターになっていなかったかもしれませんね。
ライターとして活動開始。がむしゃらにがんばった初心者時代

ーー初仕事のあともインタビュー記事作成の仕事を続けていたのですか?
そうですね。ありがたいことに、その後も同じクライアントからインタビュー記事作成のお仕事を受注できました。
とはいえ、インタビュー記事作成自体がそう頻繁に発生するものではありません。子育て中で少しでも収入を増やしたかったし、本業のWeb制作も安定した受注を獲得できない状況でした。そこで、本格的にライターとして活動しよう、と。
ーー具体的にはどんな活動をされましたか?
とにかく、手当たり次第になんでもやりましたね。当時はクラウドソーシングが今ほど普及しておらず、競争率もそこまで高くなかったんです。ライターの案件にたくさん応募をし、たまに当選して実績を積むうちにリピート受注をいただくようになりました。
現在ライターとして活動している人の多くが同じ経験をしているかと思いますが、初心者の頃は1件受注するのも本当に大変です。記事作成を中心に、セールスレターやシナリオ執筆、メルマガ作成など、ジャンルを問わず応募していました。文字単価も0.2~0.5円の格安案件ばかりで…。実績を作ることが最優先だったので、金額にこだわる余裕もありませんでした。
そんな生活を2年ほど続けていましたが、一向に稼げなくて(笑)。会社員時代よりも労働時間ははるかに長いのに、収入は3分の1以下でした。
さすがに生活が厳しくなり、フリーランスを辞めてまたWeb制作会社に就職したんです。そちらでも、文言作成やインタビュー記事作成などのライティングを担当していました。
ーーその後2015年に独立されたとのことですが、きっかけは何だったのでしょうか?
子どもが高校を卒業して、子育てが一段落したからです。それまでずっと子どもの部活一筋に生きてきたので、第2の人生は自分のやりたいことをやろうと思って。幸い、子どもの進学先があまりお金のかからない学校だったこともあります。
私は早くに結婚しておりまして。当初は5年ぐらい共働きで稼ぐつもりでしたが、予定より早く子どもを授かったので、まわりが遊びまくっていた頃に子育てをしていたんですね。若い頃に苦労した分、これからは自由に生きようと。40代に突入したばかりで気力も体力もあったので、起業するなら今しかないと思いました。
子育て終了とともに独立。理想のライフスタイルで第2の人生を楽しむ

ーー独立後、ライターとしてどのような活動をされていますか?
初めにお話した通り、独立した当初はWeb制作業がメインでしたので、ライター業は保険として細々と続けていました。本腰を入れたのは、コロナ禍になってからですね。単発案件が多いクラウドソーシングの利用をやめ、業務委託の形式で長期契約を結べるオウンドメディアを中心に活動しています。この15年間で、10社以上のメディアにお世話になりました。
ーー独立してよかったと思うことを教えてください。
理想のライフスタイルを手に入れたことです。大好きなことを仕事にし、自分のペースで働きながら趣味の時間を楽しんでいます。友人とランチを楽しんだり、習い事を始めたり…。数年前から登山やキャンプも始めました。はたから見たら、毎日遊んでいる人と思われているかもしれませんね。もちろん、裏では相当な苦労をしていますが(笑)。
ーーどのようなときに大変だと感じますか?
これはフリーライターの総意に近いと思いますが、やはり収入面の不安ですね。継続案件が唐突に終わるなんてのは序の口で、メディアごと消えたこともあります。突然明日から仕事がなくなってもおかしくないと、常に身構えている感じです。
ただし、そう悪いことばかりではなく、稼げるときは本当に稼げるので。収入が固定されない点は一長一短です。
ーーどうやったら稼げるようになりますか?これからライターを目指す人にアドバイスをお願いします。
あくまでも私個人の意見ですが、やはり実績を積み上げるのが一番の近道かと。ライターの求人に応募する際は、実績の提出が求められます。これぞという代表作があれば目に留まりやすくなりますし、顔や名前を出した実績があればなお理想的です。
駆け出しの頃は、応募したのに連絡がないなんてことはザラでしたが、今ではほぼ一次審査は通るようになりました。テストライティングやオンライン面談をパスして、即採用していただくこともあります。
単価の高い案件ほど即戦力が求められる傾向があるので、実績作りは本当に大事です。それには、真面目にコツコツと努力を重ねるしかないと思います。
ーーテストライティングに合格しやすくなるコツはありますか?
これも実績作りと同じで、経験を積むことでしょうか。同じクライアントと長くつき合うのは理想ですが、いろいろな企業やメディアにお世話になるほうが経験値は上がると考えています。
お世話になったクライアントの数だけレギュレーションがあり、表記ルールやトンマナが異なるもの。さまざまなパターンを経験しておくと、テストライティングの際に求められているものが見えてくるんですね。
テストライティングのレギュレーションをあえてガチガチにせず、ライターの地力をチェックするケースも多くあります。そこでどれぐらい実力を出せるかは、ライタースキルはもちろんのこと、過去の経験も重要なファクターとなるでしょう。
ーー最後に、これからライターを目指す人に伝えたいことはありますか?
月並みなメッセージになりますが、「継続は力なり」です。どんなに苦しくても、書くことをやめないでください。
ライターのなかには初めから成功する人もいますが、初心者のうちはみなさん苦労していると思います。私も、稼げるようになるまでは何年もかかりました。
心が折れたときは、Mojiギルドを通じてほかのライターさんと交流してみるのもおすすめです。長く続けているうちにライター同士の横のつながりも増え、情報交換ができるかもしれません。
私自身もまだまだ中堅ライターで、ほかのライターさんから学ぶべきことがたくさんあるので、Mojiギルドを活用させていただきながらがんばります!
この記事を書いたライター

あき
好きなことを仕事にしようと、2015年に起業した専業ライターです。ほかにWeb制作やデザイン業務も行っています。365日24時間対応とプラスアルファの完成度を武器に、Webライティングから法人ライティングまで幅広く活動中。趣味は登山・読書・ゲ...