「自由な働き方」への一歩、私がライターになった理由

「自由な働き方」への一歩、私がライターになった理由

ーーもともとは放送の仕事をしていたんですよね

私は大学卒業後、地方の放送局でキャスターを9年間務めていました。放送局では企画、取材のほか、ときには撮影や編集まで放送に関わるさまざまな業務を経験しました。

結婚を機に退職し、夫の転勤先で再び放送の仕事を続けるか迷いました。ですが、「せっかくなら何か新しいことに挑戦してみたい」という気持ちが芽生えて。もともと日本語や異文化への関心があり、大学時代に留学生支援をしていたこともあったので、日本語教師として働く道を選びました。

ーーいろんなお仕事を経験されてたんですね!でも、どうしてライターに?

実は、最初から「ライターになりたい!」という強い思いがあったわけではありません。

日本語教師として働いていたものの、またしても夫の転勤が決まり、やむを得ず退職することに。 「この先、私はどうやって働いていけばいいんだろう」と悩んでいるときに、放送局時代の知人から「子育て関連のホームページを立ち上げる予定なんだけど、ライターをやってみない?」と声をかけてもらったんです。

私自身、転勤や子育てで生活が大きく変わっていたので、そんな中でも自分らしく働きたいという思いがありました。ライターの話を聞いて、「在宅なら自分のペースで働けるかもしれない」と感じて、思い切って飛び込んでみたんです。

ーー飛び込んでみて、実際どうでしたか?

当時の私は、ITスキルがほとんどありませんでした。GoogleドキュメントやChatwork、スプレッドシートなんて使ったことがなかったし、「カタカナばっかりで、何を言ってるの?」という感じでした(笑)。

最初に書いたのは、離乳食の基本についての記事です。文字数は4,000字ほどだったと思います。

子育て中だったので内容的には親しみがあったものの、「どうやったらわかりやすく伝えられるか」と悩みました。情報を詰め込みすぎて読みにくくなってしまったり、優柔不断で内容を絞りきれなかったりと、まとめるのがとにかく大変で。

でも、なんとか1本書き上げたときは、「私でも在宅で仕事ができたんだ」と思えて、自信につながりました。

「私にできるのかな」から始まった日々の積み重ね

「私にできるのかな」から始まった日々の積み重ね

ーー在宅ワークならではの難しさってありましたか?

かなりありました(笑)。一番最初に感じたのは孤独です。放送局にいた頃は、何かわからないことがあればすぐに同僚や先輩に聞けたし、チームで一緒に動いている感覚がありました。

でも在宅ワークは基本的にひとり。相談する相手もすぐそばにはいないので、「これで合ってるのかな?」と不安なまま作業を進めることも多くありました。

ーーひとりでも仕事を進めるために意識していることはありますか?

在宅ワークは誰かにすぐ相談できる環境ではないからこそ、「自分で調べて、考えて、ある程度までやってみる」ことを大事にしていました。

とはいえ、完全にひとりで抱え込むのも違うと思っています。どうしてもわからないときは、「ここまでやってみたけれど、ここでつまずいています」「こう調べたのですが、この点が判断つきません」など、できるだけ具体的に状況を言語化して、クライアントへ伝えるようにしていました。

相手が答えやすいように整理して聞くというのも、在宅で働くうえではとても大事なスキルだと感じています。何度も仕事を経験するうちに、「自分で考えたうえで相談する」クセがついたように思います。

ーー始めたころと今では、働き方も変わりましたか?

在宅ワークを始めた当初とは、働き方もかなり変わったと思います。

最初は、子どもを保育園に預けていなかったので、隙間時間に少しずつ作業をして、扶養内で収まる範囲で働いていました。少しずつ記事を書くスピードが上がってきたり、検索で上位に表示される記事が出てきたりして、「私にもできるかも」と思える瞬間が増えてきたんです。

同じように在宅で働く仲間たちの存在も大きく、フリーランスとして自由に働いている姿に刺激を受けました。そのため、子どもが保育園に通えるようになったタイミングで、思い切ってフリーランスとして本格的に活動することを決めました。

今では旅先や帰省先にパソコンを持っていって仕事ができるし、急な予定が入っても柔軟に対応できています。夫が転勤族の自分にとって、フリーランスWebライターの働き方はすごく合っているなと感じています。

ライターとして大切にしていることとこれからのこと

ライターとして大切にしていることとこれからのこと

ーー記事を書くうえで、特に意識していることはありますか?

私がいちばん大切にしているのは、「リサーチ」と「読者目線」です。

インターネットには情報が溢れているからこそ、「何を、誰に、どう伝えるか」をしっかり考えてから書くようにしています。

特にSEO記事は、キーワードに対して読者が何を知りたくて検索しているのか、情報を理解しやすい流れを意識しながら、読みやすく整理することを心がけています。

ーー今後挑戦してみたいことはありますか?

今はSEO記事を中心に執筆していますが、今後はインタビュー記事にも取り組んでいきたいと考えています。

放送局でキャスターをしていた頃は、たくさんの方にインタビューをしてきました。どう伝えたらその人の想いがきちんと届くのかを考えるのが好きで、その感覚は今でも変わっていません。ライターとして、誰かの想いや背景を丁寧に言葉にして、必要としている人に届ける仕事に携わっていけたらと考えています。

どんな経験も書く力につながる

ーーライターとして大切にしていきたいことがあれば教えてください。

私自身、一度仕事を辞めたときに、「これまで積み重ねてきたものが全部リセットされたような気がする」と感じていました。

でも、ライターの仕事を続ける中で、放送局で培った伝える力や、日本語教師としての経験、そして子育ての日々が少しずつ役立っていると実感できています。

どんな経験も、視点を変えれば誰かの役に立つことがあると気づきました。今では「無駄なことなんてなかった」と、前向きに思えるようになっています。

これからも誰かの心に届く文章を届けたい。丁寧に言葉を紡いでいきたいと思います。

この記事を書いたライター

執筆者

かな

1児の母でフリーランスライター。元放送局キャスターとして企画・取材・撮影・編集までを担当し、延べ1000人以上へのインタビューを経験。転勤を機に日本語教師を経てライターに。情報収集力と好奇心を活かし、Webメディアで子育て・金融・BtoB...

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