うつ病で薬剤師国家試験を断念し、ライターへ

うつ病で薬剤師国家試験を断念し、ライターへ

はじめに、吉田さんの経歴やライターになったきっかけについてお伺いしました。

はじめに、吉田さんの経歴を教えてください

取材ライターの吉田乃り子と申します。ライター歴は今年で3年目です。2022年2月からWebライターとなり、2024年の12月から取材ライターに転向しました。

――ライターを目指すきっかけを教えてください

ライターになるきっかけは、家族への申し訳なさですね。もともとは薬剤師を目指していたのですが、国家試験前にうつ病になってしまいました。それから治療を続けながら5年程度浪人していたのですが、一向に状況は改善しなかったんです。

家族にも申し訳なくて、薬剤師は諦めて違う道を探そうと在宅でできる仕事を探していたところ、Webライターという仕事を見つけました。

在宅でできる仕事の中からライターを選んだのはなぜですか?

比較的、スキルの習得が楽だったからです。プログラミングや動画編集は、独学で習得するのが難しいですし、講座の受講料も高額だったので精神的に弱っている私には向いていないと思いました。

ライターを選ぶ決め手となったのは、ネットで評判の良いWebライター講座が見つかったことです。ゆっくりと勉強できる点が現状の自分に合っていました。

独学を選ばなかったのは、モチベーションが続かないのもありましたが、仕事を受けるのに正しい知識がないのは論外だと思ったからです。

ある程度のスキルがあると自信を持って案件に挑めるのも、講座で学ぶメリットと言えます。私の場合は、受講してから1か月程度で案件を受注し、月3万程度の収入を達成できました。とはいっても、予算に余裕がない人は最初は独学で勉強し、資金に余裕ができたら講座を受けるか決めると良いと思います。

Webライターになって安心感と自信が生まれた

Webライターになって安心感と自信が生まれた

吉田さんがライターとしてこれまで受けた仕事内容や、仕事から得た気づき・変化などを教えていただきました。精神的に弱っていた人ならではの視点が多く含まれており、一般的なメリットとは異なるライターの良さがわかります。

Webライターとしてどんな仕事をしましたか?

最初はやっぱりクラウドソーシングの応募に2〜3回落ちました。提案文が使い回しのような薄い内容だったことが原因だと思います。応募した理由を丁寧に書くことで、ホームページの文章作成案件を獲得しました。顧客のヒアリング内容をもとに、顧客のサービス内容や強みを魅力的に見えるよう執筆する仕事です。

特定のキーワードを一定数入れる必要があり、常に文章の流れや文字数との戦いでした。顧客によってはほとんど情報がなく、リサーチにも時間がかかる場合も。とてもキツかったですが、この案件を通じて忍耐や継続力、マニュアルやフィードバックを素直に守る姿勢が身についたと思います。

その後は、さまざまなジャンルのSEO案件を受けていました。制作会社の洗練されたマニュアルやフィードバックを通じて、SEOの基礎やより実践的なライティング力が身についたと思います。

とくに、フィードバックを受けた後は「前回のフィードバックをもとに○○の部分を××として直しました。ご意見いただけると幸いです」と改善した部分を提示するとより良い改善点を教えて貰えるときがありました。より実力を身につけたいなら、ぜひやってみてください。

Webライターになって変化したことは?

安心感と自信がついたことです。私の場合、うつ病になってから自己肯定感がどん底まで落ちて「自分には価値がない」「生きている意味があるのか」と感じていました。けれども、ライターの仕事を始めてから「人の役に立っている」という実感が湧くようになりました。

働いてお金を貰うという体験は、社会とのつながりだけでなく、自分の価値を明確にすることにもつながります。確かにライターの仕事は納期や文字数、表現方法などキツいことはたくさんありますが、無気力に過ごしていた時期よりも心が充実しています。

また、SEO案件の担当ディレクターが丁寧な方で、改善点だけでなく良い点もきちんと伝えてくださったのも大きかったです。自分の強みが明確になり、自信にもつながりました。ライターになる方は、ぜひディレクターに自分の改善点だけでなく良い点も尋ねてみてほしいですね

そうやって自信がついたことで、他人と関われるようになっていきました。ちょっとずつ外に出るようになり、店員さんに話しかけられるようになり、最終的にはライターのオンラインコミュニティにも参加できるようになりました。今では、オンライン交流会にも顔出しで参加しています。

やりがいがあっても、仕事がキツいときはどうしていましたか?

まずは仕事を継続するのが目的なので、生活費は貯金や家族に頼り、ライターとして稼いだ分はすべて自分へ注ぎ込むことでモチベーションを維持していました。私の場合は「作業スペースをいかに充実させるか」です。

また、単価の安さが辛く感じたら単価アップを交渉したり、別の案件を並行して探したりしました。単価アップ交渉は苦手なので、基本的に別の案件に採用されたら、今の案件は丁寧に来月以降の案件をお断りしています。

AIの台頭から取材ライターへ

AIの台頭から取材ライターへ

精神的に弱り、人と会うことすら避けていた吉田さんですが、今では人と関わる取材に携わっています。その理由をお伺いしました。

人と関われるようになったから取材ライターになったのですか?

いいえ。AIによってSEO記事の受注が難しくなりそうなので、別の道を探そうと思ったからです。単価アップしたかったのもあります。

最初は人と関わるのはまだ躊躇していたため、セールスライターになろうとしていました。目標が「あなたに頼んで良かった」と笑顔で言ってもらえるライターだったので、売上に直結する仕事を選びました。

けれども、勉強を始める前にセールスライターの方とお話できる機会があり、そこで「セールスライターでも直接、人の話を聞く必要あるよ」と言われたんです。

いずれにせよ人と関わるなら、取材ライターを経験してからセールスライターを選ぶか決めようと取材案件に挑戦するようになりました。

どうやって取材ライターになりましたか?

まずは、地方のローカル情報を扱うメディアに応募しました。ホームページから応募し、面談をしたところ運良く採用して貰えました。

採用後すぐに取材へ行ったのですが、アポ取りのマナーや記事構成、取材内容のピックアップ方法などわからないことが多く、このままでは良い記事が書けないと思いました。

それからすぐに取材特化の講座に申し込み、1からノウハウを学びました。基本的なマナーや記事の書き方を学び、講座内で記事を1本書き上げたことで自信を持って取材案件に対応できると言えるようになりました。

現在は今まで執筆した取材記事を実績として提示しながら、さまざまな案件に応募しています。おかげさまで、イベント取材のご相談を受ける機会にも恵まれました。

本当に大きく変わりましたね

はい。ずっと部屋の中で無気力に寝込んでいたころの私には、信じられないくらいの成長だと思います。少しでも自分がやってみたいと気力が湧いたら、すぐ行動することの大切さが実感できる3年間でした。

ライターとしての目標と理想を目指して

ライターとしての目標と理想を目指して

取材ライターとして活動するほど、精神的に大きく成長した吉田さん。そんな吉田さんにこれからの目標とこれからライターを目指す人へのアドバイスをお伺いしました。

吉田さんの目標を教えてください

100本以上の取材案件をこなすことです。経験を積んで、もっとスムーズに気持ち良く、インタビュイーがお話できる環境を作れるようになりたいです。表面的な内容だけではなく、もっと踏み込んだ深くて面白いコアなお話を引き出すのが理想ですね。

最終的には、奈良や地方のものづくりを紹介して、地域の経済活性化に役立てる取材ライターを目指しています。

これからライターを目指す人に一言お願いします

ライターは、企業で働くのが苦手な方や人との関わりが苦手な方でも始められる仕事です。ですが、やはり忍耐力や継続力は求められます。辛くても私のように趣味などで発散できる程度なら十分向いています。

逆に合わないと思ったり、耐えきれないほど苦痛に感じたりするなら、別の道があなたには合っています。お金を稼ぐ方法もやりたいことをやる方法もライターだけではありません。

遠回りでも自分の心が充実する仕事を選ぶことが大切です。それでもライターをやってみたいなと思うなら、ひとまず基礎を身につけてからクラウドソーシングに登録してみましょう。

Mojiギルドのようなライターに親身なクライアントに出会えたら、ライターとしての可能性はより広がりますよ。

この記事を書いたライター

執筆者

吉田乃り子

奈良県生まれ奈良在住の専業ライター。「人と地域の“会いたい”をつなぐ」をスローガンに、地域や中小企業の魅力を伝える仕事をしています。SEOだけでなく、取材や一眼レフによる撮影も対応可能です。クライアントからはコミュニケーションがしや...

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